ニキビの治療法を見直そう! 医師が教える効果的な方法

ニキビができたときには「一日でも早く治したい」と思うもの。ただし、ニキビの治し方を間違えると、かえって悪化させる原因にもなります。ニキビを早く、きれいに、正しく治すためには、次のような方法があります。

ニキビの治療法を見直そう! 医師が教える効果的な方法

ニキビを治す方法

驚くことに、日本では9割以上の人がニキビを経験しています。10代の成長期にできる「思春期ニキビ」や20代以降にできる「大人ニキビ」など、年代や症状、お悩みもさまざまです。ニキビを治す方法としては「自然治癒やホームケアで自力で治す方法(セルフケア)」「市販薬の使用」「皮膚科や美容皮膚科などの専門の病院やクリニックでの治療」の3つがあります。

セルフケアでのニキビの治し方

大事な予定の前に急にポツっとニキビができて「1日で治したい!」と考えた経験がある人は多いと思います。しかし、セルフケアだけで早く治すのはかなり難しく、病院やクリニックの治療でさえ、ある程度日にちをかけないとニキビの完治はできません。セルフケアでできることは日頃の生活習慣やスキンケアを正して、ニキビを治りやすくする「自然治癒のサポート」や、予防のために「ニキビができにくい肌に整える」ことです。

ニキビを悪化させる間違ったセルフケア

ニキビを早く治そうと、自分で膿を出していませんか?自分でニキビをつぶしたり、膿を出そうとすると指先から細菌が入って炎症が悪化するだけでなく、爪先などで肌に傷がつき色素沈着や瘢痕となって跡が残りやすくなります。ニキビを指で触るだけでも刺激となって炎症を悪化させる場合があるので、触り癖がある方は注意しましょう。

「ニキビは触らないほうがいい」とケアもせず放置していると、皮脂やアクネ菌が増えてニキビが悪化したり治りが遅くなるケースがあります。軽症のニキビでも放置はせず、適切なケアをしていきましょう。

ニキビを潰すことの危険性

ニキビを早く治したいと考えるあまり、自分で膿を出そうとすることがあります。これは一見効果的な方法に思えるかもしれませんが、実際には逆効果です。指でニキビをつぶすと、指先から細菌が入り込み、炎症が悪化するリスクが高まります。さらに、爪や指先で肌に傷をつけてしまうと、その部分に色素沈着が起こりやすくなり、跡が残る可能性もあります。特に爪が長い場合、無意識のうちに皮膚を傷つけてしまうことが多いため、注意が必要です。また、無理に膿を押し出すことで内部組織が傷つき、ニキビが治った後も瘢痕として跡が残ることがあります。このような自傷行為は、結果的に肌の見た目に大きな影響を与えるため、絶対に避けるべきです。

ニキビを触ることのリスク

日常生活の中で、無意識に顔に触れることは多々ありますが、これはニキビにとって大きなリスクです。指には多くの細菌が付着しており、顔に触れることでこれらの細菌がニキビ部分に移り、炎症を引き起こす可能性があります。特に、指でニキビを直接触ることで、さらに刺激を与え、炎症が悪化することがよくあります。触り癖がある人は、この癖を意識して直すことが重要です。例えば、顔に触れないように手を膝の上に置く習慣をつけたり、何かに集中しているときに顔を触らないようにするなど、具体的な対策を講じることが有効です。また、枕カバーやタオルなど、顔に直接触れるものを清潔に保つことも大切です。

適切なケアの重要性

「ニキビは触らないほうがいい」と言われることが多いですが、単に放置するだけではニキビは悪化する可能性があります。皮脂やアクネ菌が増えることで、ニキビがさらに増えたり、治りが遅くなったりするケースが多々あります。軽症のニキビでも、適切なケアを怠ると、症状が悪化することがあります。適切なケアとしては、まず顔を清潔に保つことが基本です。毎日、朝と夜に適切な洗顔料を使って顔を洗い、皮脂や汚れをしっかりと落としましょう。また、保湿を欠かさず行うことで、肌のバリア機能を保つことができます。さらに、皮膚科医の指導のもとで治療を受けることも有効です。市販のニキビ治療薬を使用する場合も、成分を確認し、自分の肌に合ったものを選ぶことが重要です。ニキビがひどい場合や、自己ケアで改善しない場合は、早めに専門医の診察を受けることをお勧めします。

これらのポイントを守ることで、ニキビの悪化を防ぎ、より早くきれいな肌を取り戻すことができます。

肌に刺激を与える過剰なスキンケア

思春期は皮脂が多くてオイリー肌になりがちです。余分な皮脂を落として肌を清潔にすることは大切ですが、1日に何度も顔を洗ったりゴシゴシ力を入れてしまうと、角質層を傷めて肌のバリア機能を低下させたり肌刺激となって、炎症を引き起こすことにつながりニキビを悪化させます。

また、20代過ぎても思春期用のニキビケアアイテムを使い続けていると、油分不足に陥って肌が乾燥し、かえってニキビができやすくなることも。化粧水をつけるときやメイク時の、肌をこする、たたくといった行為も肌刺激となってニキビの原因になりえます。

ニキビができている時の基本のスキンケア

ニキビの種類や症状、場所によって適切なケアがありますが、ニキビができたときには、次の3つが大切な基本のスキンケアとなります。

  1. ①肌を清潔に保つ:皮脂や汚れによる毛穴つまりはニキビの原因になります。特に思春期は皮脂が多く分泌され、花粉や埃などの汚れも付着しやすいため、肌を清潔に保つケアが必須です。ただし、洗いすぎて肌に必要な皮脂まで落とし去ってしまうと、逆に皮脂が過剰に分泌されてしまうため、洗いすぎには注意を。1日2回(朝、夜)の洗顔で肌を清潔に保ちましょう。
  2. ②水分と油分のバランスを整え保湿する:肌の乾燥からくるバリア機能の低下もニキビの要因になります。たっぷりの化粧水をハンドプレスで丁寧に浸透させ、軽めの油分を含んだゲルやミルクで蓋をするように保湿すると、角質層にうるおいが保たれバリア機能が整います。オイルやクリームなど油分の多いアイテムは、ニキビの発生や悪化を招きます。ニキビを繰り返している場所やニキビができているところへの使用は控えましょう。
  3. ③肌を刺激しない:肌への余計な刺激はニキビ悪化の原因になります。スキンケア時のふき取りやスクラブ、ゴマージュ、マッサージ、洗顔ブラシやコットンの使用などは、肌に摩擦をおこし余計な刺激を加えてしまうので中止しましょう。また、洗顔時の肌刺激にも注意が必要です。クレンジングは1分以内、洗顔は30秒以内を目安にし、洗顔後は柔らかいタオルを使ってやさしく押し当てるように拭き取りましょう。

生活習慣の見直しで内側からもニキビ対策

思春期のニキビは二次性徴期に伴う皮脂分泌の活発化が原因となるため、成長とともに落ち着いていきます。しかし、大人になってもニキビの症状が続くときはストレスや睡眠不足、食事の偏り、生活リズムの乱れなど生活習慣が関係していることが多いため、大人ニキビをつくりたくない方や大人ニキビができたときには、栄養バランスのとれた食事をする、意識して身体を動かす、睡眠不足やストレスの蓄積を防ぐなど、身体そのものを健康的な状態に近づけるケアが必要です。忙しくて同じようなものばかり食べている方や不規則な生活をしている方がニキビを治すには、規則正しい生活習慣、健康的なライフスタイルへの改善が欠かせません。

薬でのニキビの治し方

ニキビを薬で治すときには、市販のニキビ薬(OTC医薬品)もしくは、医師の処方した薬のどちらかを使います。白ニキビや黒ニキビなど、でき始めのニキビや軽い炎症性ニキビであれば、市販のニキビ薬でも一定の効果を得ることができます。医師が処方する薬は、薬に配合されている成分の種類や有効成分の含有量が市販薬とは異なり、症状の進んだニキビにも対応できます。市販薬と処方薬どちらにせよ、ニキビを早くきれいに治すには適したニキビの薬を使い分けることが大切です。

専門の病院やクリニックでの治療

少しでも早くニキビを治したいと考えているなら、セルフケアではなく病院やクリニックで治療を受けることです。特に重度のニキビでかゆみや痛みを感じるときや、セルフケアや市販薬で改善していないときには、ニキビ治療を専門にしている医師のいる皮膚科や美容皮膚科を探しましょう。

「皮膚科」と「美容皮膚科」では、ニキビの治し方や治療のゴールが異なるので、自分がどこまでニキビを治したいかに応じて受診先を決めるといいでしょう。皮膚科は、ニキビを根本から治すことが目的です。保険適用の薬を中心にした治療を行うため費用も抑えられます。治療は一般的に3ヶ月~半年ほど続けていきます。

対して、美容皮膚科は、ニキビの根本治療に加えて、きれいな肌へ導くことが目的です。薬での治療のほか、保険適用外のピーリング治療や光治療、フォトフェイシャル、レーザー治療などを組み合わせて治療を行います。治療が短期間で済むため、1ヶ月~3ヶ月ほどで治ることが多いです。